最新の論文検索AIの使い方【SciSpace, Elicit, Consensus, Connected papers】
「欲しい論文がすぐに見つけられない」
「いつの間にか論文検索にこんなに時間かけてた?!」
「引用漏れしてないか不安…」
この記事ではこのようなお悩みを解消するための「AIを使った論文検索方法」をご紹介します。
今回ご紹介するツールは、SciSpace、Elicit、Consensus、Connected papers。
- 検索の意図が伝わりやすい
- 欲しい論文が見つかりやすい
- いちいち論文要約を読む手間がなくなる
- 引用漏れの不安が解消する
論文検索にかかる時間が圧倒的に短くなり、検索精度も明らかにアップします。
しかも、全てのツールともに無料で利用可!
(※SciSpaceのみ有料版でないと性能が半減しますのでご了承ください)
使わない理由がない
AI論文検索ツールの使い分け
筆者は研究歴10年以上の現役研究者です。
私はAIツールを以下のように使い分けています。
- 日常的な論文検索には:SciSpace
- 重要な場面で質の高い論文を探したいときには:Elicit, Consensus
- 関連論文を深堀りしたいときは:Connected papers
どんどん新しいツールが増えていますが、今のところよく使うのがこの4つ。
明らかに論文検索が楽になりましたよ!
早速、私が行っている検索方法をご紹介していきます。
日常的な論文検索にはSciSpace
どうして日常的にSciSpaceを使っているかというと、
文献検索だけでなくて、読解サポートまでもが超優秀だから。
「論文を探す→見つけた論文を読む」というフローが最高に便利。
しかも、ライブラリー機能や執筆機能など、研究者が日常的に利用するために機能がたくさん搭載されています。
詳しくはSciSpaceの解説記事にまとめています。
使いたくなる理由しかないですよ
SciSpaceの文献検索で何ができるかというと、
- 文章形式で検索内容を入力する
- 検索に対して引用付きのサマリーが表示される
- 各論文の考察と結果がリストで表示される
- 各論文に対して深掘り質問ができる
- 見つけた論文をSciSpaceの読解サポートを使って読む
早速、SciSpaceのトップページから検索したいクエスチョンを打ち込みましょう。
「初期段階の肺がん患者に対する放射線療法の効果を検証した研究を探して。総説以外、5年以内、なるべく大規模なものをピックアップして」
こんなざっとした文章で十分です。
盛り込みたいキーワードを文章に入れ込めばOK。
さて、実際のアウトプットを見てみましょう。
以下はアウトプット画面です。
アウトプットの画面の上部には引用付きのサマリー↓
アウトプットの画面の下部に各論文の情報、考察、結論のリスト↓
各論文の基本情報だけでなく、内容や考察までテーブル化されています。
さらに、全てが日本語に翻訳済み!
これだけのアウトプットが30秒もかからずに出てきます。驚くべきスピード感…
SciSpace曰く、2億以上の文献データベースから文献を拾ってきているそうです。
さらに便利なことに、テーブルの項目は選択式で好きに編集できます。
例えば「実験手法」や「研究の限界」などを加えたり…
なんて、便利…(感動)
検索結果を確認するなかで、特定の論文の詳細がさらに気になった場合にはAIで個別に質問できます。
昔のように、
文献ページに移動して、アブストラクトを読んでみたものの…「なんかこれ違うぞ!!!(落胆)」
っていう時間の無駄は一切なくなります。
ありがとう…(泣)
文献検索で見つけた気になる論文はSciSpaceのライブラリーに取り込んでおきましょう。
ライブラリーに登録しておけば、SciSpaceの読解サポート機能を使っていつでも論文を読めます。
下はライブラリー内の画面です。
論文情報だけでなく、結果や方法などの各項目(編集可)がテーブル化されています。
文献管理ソフトなどで羅列された文献タイトルだけをみても、
「この論文なんだっけ?」ってなりません?
(私はなります)
こんな風にリスト化されているとすごく便利ですよね。
さらに、SciSpaceの「読解サポート」では超高速で難しい論文も読み進めることができます。
(これに関しては下の記事で解説しているので読んでみてくださいね)
と、まぁこのようにSciSpaceはすごくおすすめのツールなんですが、ひとつだけごめんなさい。
無料版でも使えますが、使うなら有料版にするべきであるツールです。
わたしも有料で使ってます!
その理由は、無料版だと全ての機能でAIの品質が劣ること。
とはいえ、クーポンを使えばたった月額1,000円程度で有料版を使えます。
以下の記事ですべて解説しているのでぜひご覧ください。
網羅的な論文を探したいときにはElicit
Elicitは網羅的な文献検索をしたいときに何よりおすすめです。
Elicitのすごい機能は…
- コンセプトを分類(網羅的な検索)
- 論文からデータを抽出してテーブル化
まず、コンセプト分類について詳しく説明します。
どのようなときにコンセプト分類を利用するかというと…
- 総説やシステマティックレビューを執筆するとき
- 新規分野を開拓したいとき
「網羅的にある特定のキーワードを把握したい」というときに非常に便利で、情報の漏れを防ぐことができます。
まず「list of concept」という検索窓にキーワードを入力します。
例えば、「腰痛」というビックワード検索します。
(他にも「○○の治療法」「○○のメカニズム」などでもOKです)
すると、文献データベース上に存在する「腰痛」の定義をまとめ、「具体的な病態」ごとに細分化してくれます(下図参照)。
さらに、そのコンセプトごとに上位論文をまとめた引用付きの概要を提示してくれます。
論文の検索結果画面もテーブル化されていてとても見やすい。
このあたりの仕様はSciSpaceと同じですね。
このテーブルがSciSpaceより優れている点は、
抽出された文をクリックすると本文の該当箇所へ移動できること。
有料プランの高精度モードをONにすると、抽出文の1文ごとに番号が振られて細かく引用部分を確認できます。
重要な項目にはぜひ高精度モードを設定をしましょう。
以前は有料プランに契約しないと継続利用できませんでした。
しかし、最近料金プランが改変されて、無料プランでも使い続けられるようになりました!
高精度モード増やしたいときには有料プランにアップグレード!
無料プランと有料プランの違いは、下の解説記事に詳しく書いてます。
\ 網羅的な検索が得意/
※公式HP https://elicit.com/
【最安で契約できるプロモコード】
”ACADEMIA10”で10%OFF
(全プラン対象)
重要な場面で質の高い論文を探したいときにはConsensus
Consensusの文献検索機能は、SciSpaceやElicitを凌ぐ勢いです。
Consensusの文献検索でできることは
- 文章形式で検索内容を入力する(特にYes/Noで答えられる質問がおすすめ)
- 検索に対して引用付きのサマリーが表示される
- 検索結果に並んだラベルをみて論文を選別する
- フィルタリングを用いた再検索も自由自在
Consensusは”質の高い”論文をスクリーニングして表示してくれることで定評があります。
Consensusでは、おすすめの検索方法をこのように明示しています。
- 事象間の関係について質問
(例:「クレアチンは認知力を改善しますか?」) - 「はい/いいえ」で回答できる質問
(例:「亜鉛のサプリメントでうつ病を改善できますか?」 - ある事象の効果について質問
(例:「移民の経済における影響は?」
筆者のおすすめは②「はい/いいえ」で回答できる質問で検索すること。
例えば適当にこんなクエスチョンを投げてみましょう。
「クレアチンは筋力を向上するか?」
左上にサマリー、右上にConsensus Meter、下に各論文の検索結果があります。
サマリーがついてくるのは、もはやAI検索では定番。
ここで、とても斬新なのが、Consensus Meterという唯一無二の機能です。
上位論文の結果を集計して、このようなグラフを出してくれます。
すごいですよね…
新規分野に参入するとき、新しい実験系を構築するときなどに
「このクエスチョンに対してはどんな意見が主流なんだろう?」
という疑問が一発で解決します!
他にもConsensusはラベリング機能がとても豊富で、検索画面で研究の質や概要が分かりやすい点もすごく良い点。
ラベルの種類
- 研究の評価:「Rigorous Journal(厳格な研究)」「Very Rigorous Journal」
- 引用数:「Highly Cited」
- 研究デザイン:「RCT」「Non-RCT Trial」「Case Report」など
- 臨床研究か基礎研究か:「Animal Trial」など
このラベルがあるとすごく論文が探しやすいんですよね。
さらに、Consensusはフィルタリング機能も使いやすいん!
一例を以下の図に示します。
このフィルター機能を大いに使って、論文を絞りに絞っていきましょう。
必ず「これだ!」という最高の論文が見つかります。
Consensusは無料でも品質の良いAI(現在はGPT-4)を利用できます。
ただし、利用には回数制限がついています。
実際に利用してみて、どうしても回数制限にひっかかってしまうようであれば有料版に切り替えることを検討してみてください。
月額だと8.99ドルから。期間限定のキャンペーンや学生割もあります。
今のところ私は無料版の範囲内で利用しています。
\ 無料版でも大活躍 /
※公式HPへ移動します
関連論文を深堀りしたいときはConnected papers
SciSpaceともConsensusとも全く異なる文献検索AIツール「Connected papers」!
このツールがほんっとにすごい。
- 関連文献をネットワークで視覚化
- 円同士の距離で関係の深さを表す
- 円の大きさは引用数の多さを表す
「引用漏れがないように、論文の参考文献から芋づる式に論文を掘り出す」
なんて、気の遠くなる作業を昔は行っていましたよね。
かなり時間をかけても重要論文を引用漏れしてしまうことだってありました。
現代であればConnected papersで一撃で終わります!
まずはトップページから論文をアップロード。
元論文を中心に、関連する論文を視覚化してくれます。
円の距離は関係の深さ、円の大きさは引用数の多さを表しています。
円の大きいものを引用し忘れていたらぜひチェックを。
リスト化して詳細もみれます
Research Rabbitともよく似ていますよね
少し違う点は、Research Rabbitの場合は円の距離に意味を持っていないところでしょうか。
そして、Connected papersでは月に5つのグラフ作成までは無料です。
もしそれ以上のグラフを作成したい場合は、年間プランで月額700円弱です。(為替で変動しているので随時要チェック)
\ 月にグラフ5つまでは無料 /
※公式HPへ移動します
AIで論文を検索するメリット
これまでの論文検索はキーワードを複数入力して欲しい文献をヒットさせる形でした。
これがとても大変でですよね…(下のリストに続く)
- 検索意図が伝わりにくく、検索結果がカオス
- 同義語でもキーワードの選択が違うだけで検索結果が異なる(例:CO2とcarbon dioxide)
- タイトルだけの文献検索結果をひたすらスクロールして、死に物狂いで探す
- 良さそうな文献ページを開いてアブストラクトを読んでみるもののなんか違う…(落胆)
このようにものすごく時間がかかる面倒な作業でした。
しかし、AI時代が到来し、何倍も何十倍も楽にできるようになりました!
まとめ
今回は文献検索にかかる時間を節約するための活用術についてまとめました!
他にも論文関係のツールをまとめた記事がありますので、ぜひご覧ください。
\文献検索ツール/
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